宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
「英語はそれなりに勉強しているのに、模試や共通テストの過去問になると点数が伸びない」――
多くの保護者の方が耳にしたことのある悩みではないでしょうか。本人は真面目に取り組んでいる。単語もある程度覚えている。文法の基礎も大きく欠けてはいない。それでも得点につながらない。
この原因を「才能不足」や「勉強量不足」と片づけてしまうと、本質を見誤ってしまいます。
実際に教室で指導していると、点数が取れない生徒の多くは「英語が読めていない」のではなく「答えの根拠になる情報を取りこぼしている」ことが明らかになります。
つまり、英文の意味を追うことには成功しているのに、設問に必要な情報を拾えていない。ここにギャップがあるのです。
なぜこうした現象が起きるのでしょうか。理由の一つは、脳が英文を「訳そう」とする方向に働いてしまうからです。
文を正確に訳そうとするあまり、肝心の「情報を拾う」という目的から逸れてしまうのです。
共通テスト型の英語は、英文学の読解ではなく「情報処理試験」に近い性質を持っています。内容を“理解する”というより、“必要な情報を探しに行く”姿勢が問われているのです。
例えば、ある問題で「イベントが中止になった理由」を問われているとします。英文の全訳を丁寧に追っていても、肝心の「理由」を示す一文を読み落とせば答えにはたどり着けません。
逆に「理由を探す」という意識を持って読み進めれば、“because of heavy rain”のような部分を見逃すことは減ります。
情報を取りに行く姿勢そのものが、得点力を底上げするのです。
これは「英語を英語のまま読む」初歩的な訓練にもつながります。日本語に逐語訳するのではなく、「どんな情報を取るべきか」にアンテナを立てる。
最初は慣れないかもしれませんが、練習を重ねることで脳が自然と情報収集型の読み方に切り替わっていきます。
もう一つの例を挙げましょう。ある長文の冒頭に「調査対象は高校生500人」と書かれているとします。設問で「この調査の対象は誰か」と問われたとき、意外にも多くの生徒がこの情報を取りこぼしています。
英文そのものを理解できていないのではなく、「問いに直結する情報を保持していない」ために間違えるのです。こうした小さな“すり抜け”の積み重ねが、点数を大きく左右します。
つまり、英語の学習は「訳読」や「暗記」だけで完結しないということです。得点につながる学習とは、問題文を情報源として扱い、必要な情報を確実に取りに行く訓練を積むこと。その発想転換が、模試や本番での飛躍につながります。
保護者の方に知っていただきたいのは、子どもが英語で伸び悩んでいるとき、それは「努力不足」ではなく「読み方の方向性」がずれている可能性が高い、という点です。
適切な指導の下、練習を積めば改善できる領域であり、センスや才能に左右される部分ではありません。努力が正しい方向に矯正されれば、成果は必ず表れます。
塾の現場で日々見ているのは、「読めるのに点が取れない」子が、情報収集型の読み方に切り替えた途端、着実に点数を伸ばしていく姿です。その変化は決して劇的ではなくても、確実に“本物の力”として積み上がっていきます。
英語学習において必要なのは、単なる知識の追加ではなく「読み方そのものの刷新」。この視点を持つことで、子どもの努力がようやく点数に結びつき始めます。