宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
「勉強体力」という言葉をあえて使います。
成績上位の子が共通してもっているのに、通知表にも模試の帳票にも現れない力です。
集中力(短時間で一点に没頭する力)でもなく、運動の基礎体力(長時間の練習に耐える身体的持久)とも違います。
短い集中を何度も繰り返し、机に向かい続ける——その総量を可能にする力を、ここでは勉強体力と呼びます。
一斉授業で「1時間×2コマ」程度なら、この差は表面化しません。
しかし当塾で上位の大学・高校を目指す生徒は、塾での自習が10時間を越えることも珍しくありません。
宇都宮女子高の生徒で高校で数学と物理1位を取った生徒は、土日の塾での自習が12時間を越えることもざらにありました。
こういう生徒を見てる、10時間以上を淡々と継続できる子と、3時間で燃料切れになる子が、はっきり分かれます。
運動部で鍛えた体力があっても、学習では3時間が限界——という例は珍しくありません。つまり、勉強体力は筋力や心肺機能の問題ではなく、課題に向き合う姿勢の「持続設計」の問題なのです。
Aさんは50分集中+10分休憩を4セットこなす力が最初からあり、夏は「50-10×8セット=8時間」を完走できました。Bさんは同じ集中力テストで同点でしたが、2セット目で途切れ、3セット目は質が落ちる。Bさんは“集中の再起動”が苦手だったのです。差は、知識量ではなく「集中を何度復帰できるか」にありました。
では、どう鍛えるか。やるべきは設計です。
第一に、時間枠を固定します。
たとえば「2時間半」を基本とし、25分学習+5分休憩を5周(計150分)。25分で切るのは、集中を“節”で刻み、再起動を練習するためです。ここが「長くやれ」より大事な点です。ポモドーロ勉強法として有名で、一時期話題になりました。
第二に、課題の質を揃えます。
25分で完結するタスク(英語:精読1段落+設問2問/数学:部分点を狙える誘導1つ分/国語:設問の根拠線引きのみ)に分割しする。タスクが長すぎると、休憩明けに戻る位置が曖昧になり、再起動に失敗します。
第三に、場所を最適化します。
家は中断要因(通知・家族の動線・飲食)が多く、勉強体力を“測る”には不向きです。だからこそ、自習室などを活用し、外部刺激が少ない場でセット数を積み上げます。
よく、「集中力が続かない子をどうしますか」と相談を受けますが、焦点は“続かせる”ことではありません。“再開できる”ことです。
25分で一度降りてもよい、しかし5分後に必ず座席へ戻る——この往復運動を日次で何本走れるか。
スポーツで言えば、瞬発力の反復練習に近い。ここで重要なのは、「疲れたから中止」ではなく、「疲れたので形式通りに終え、形式通りに再開する」という儀式の堅持です。形式は意志を補助します。
勉強量=勉強時間である以上、勉強体力は成績の“見えない土台”です。小学生でも持っている子はいますし、大学受験生でも未発達な子はいます。
学年ではなく、設計と習慣の差なのです