中学に入学したお子さんが、英語の授業のペースの速さに戸惑う。
これは毎年、多くのご家庭で起きていることです。そしてその戸惑いの中心にあるのが、実は「書くこと」です。今回は、これから中学生になるお子さんをお持ちの保護者の方に向けて、小学生のうちにできる準備について書いてみたいと思います。
現在の学習指導要領では、小学校の英語で600〜700語程度を扱うことになっています。中学校では、その語彙を前提として、さらに1600〜1800語程度を学びます。
ここで注意していただきたいのは、小学校で扱った語が、中学では「すでに学んだもの」として扱われるという点です。
ところが、小学校での「書くこと」の目標は、アルファベットの大文字・小文字を書けること、そして音声で慣れ親しんだ語句を書き写せることが中心です。つまり、単語を見ずに自分で綴れるところまでは求められていません。聞いたことがある、言ったことがある、見れば分かる。その段階で小学校を終え、中学に入ると、同じ単語を正しく書けることが当然の前提になる。この段差が、想像以上に大きいのです。
中学1年の1学期の定期テストでは、試験範囲に含まれる単語が150語から200語に及ぶこともあります。小学校で書く練習をほとんどしてこなかった生徒にとって、これを短期間で書けるようにするのは相当な負担です。
そこでお勧めしたいのが、小学生のうちから英語を書く練習をしておくことです。
理由の一つは、手が英語を書くことに慣れるからです。ひらがなや漢字とは手の動かし方が違うせいか、アルファベットは書き慣れていないとなかなか速く書けません。書くのが遅ければ、授業のノートも、テストの解答も、すべてが後手に回ります。速く正確に書けることは、それだけで学習を大きく支えてくれます。
もう一つは、文字の認識が正確になることです。書き慣れていない生徒は、girlをgrilと書くように、文字の順番を入れ替えてしまうことがよくあります。本人は正しく書いたつもりでも、単語を文字の並びとして正確に捉えきれていないのです。自分の手で繰り返し書くことで、単語の綴りは視覚的なイメージとしても定着していきます。
加えて、声に出して読む経験もぜひ積ませてあげてください。繰り返し発音した語は頭に残りやすく、読めるようになった単語は書くときの手がかりにもなります。問いかけに英語で答えるだけでなく、書かれた英語を実際にたくさん読むこと。読むことと書くことは、互いに支え合っています。
小学校の英語は、楽しく英語に親しむことに重点が置かれています。それ自体には大きな意味があります。ただ、その先の中学英語が何を前提にしているかを知っておけば、ご家庭でできる準備が見えてきます。毎日少しずつでも、単語を声に出して読み、手で書く。その積み重ねが、中学に入ってからの大きな余裕につながります。
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