宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
最近の英検は一昔前に比べて上位級が合格しやすくなっています。
英検2級に合格すれば、「これで大学受験も安心」と思われるかもしれません。
実は、この考えこそが多くのご家庭を悩ませる落とし穴なのです。
現在の中学英語教科書を見ると、まさに「張り切りすぎ」の状態です。英会話的な表現、実用的なフレーズ、多様な文化的トピックス—これらが無秩序に詰め込まれています。一見すると「実践的で素晴らしい」と感じるかもしれません。
しかし、ここに大きな問題があります。体系的な文法学習が犠牲になっているのです。
例えば、中1ではunit1からDo you~?の文、Are you ~?の文 Can you~?の文が
3つ一気にでてきます。それぞれを定着させる前に一緒にでてきてしまうのです。
力量のある先生が区別を意識的にトレーニングすれば別ですが、普通の授業だと使い分けができないままゴチャゴチャになります。
またつづいてunit3では従来中2の中盤に習うはずだった。不定詞・動名詞がもう登場します。3人称単数や疑問詞などの基本ルールを身につける前に応用の不定詞・動名詞がでてくるため、さらに生徒達の頭は混乱します。
これでは生徒たちの頭の中で文法体系が整理されません。
「うちの子は中学3年で英検2級に合格したから大丈夫」—こう考える保護者の方は少なくありません。確かに、現在の英検2級は小学生でも合格可能なレベルまで下がっています。しかし、ここに大きな誤解があります。
英検2級合格と大学受験での英語力は、全く別の能力なのです。
英検2級から準1級への道のりは、多くの人が想像する以上に険しいものです。なぜなら、2級まではパターン学習や暗記でなんとかなりますが、準1級からは真の読解力と論理的思考が求められるからです。
実際に準1級の長文問題を見るとわかりますが、単語を日本語に置き換えただけでは解答できない問題が大部分を占めています。「文章の構造を理解し、筆者の論理展開を追い、行間の意味を読み取る」—これらの能力が必要なのです。
「小さい頃から英会話教室に通わせているから安心」という声もよく聞きます。しかし、早期英語教育を受けた生徒たちが中学後期から高校にかけて伸び悩むケースを数多く見てきました。
なぜでしょうか?答えは単純です。会話中心の学習では、複雑な文章構造を理解する力が育たないからです。
例えば、「I think that the book which was written by the author who lived in the 19th century is interesting.」このような入れ子構造の文章を、感覚的に理解することは困難です。文法的な解析能力が必要なのです。
では、早慶をはじめとする難関大学に合格するための英語力を身につけるにはどうすればよいのでしょうか?
答えは意外にシンプルです。英検の勉強に力を注ぎすぎることなく、「文法→構文→精読」という古典的な学習法に立ち返ることです。
「英検取得が早ければ早いほど良い」という考えから、一度距離を置いてみてください。確実な基礎力を築くことで、結果として英検準1級も、そして難関大学合格も自然と手の届く範囲に入ってきます。
実際、当塾で正統的な文法学習を6年間重ねた生徒は、英検準1級に合格し、さらに早慶レベルの過去問でも安定した得点を取れるようになります。
急がば回れ。これが英語学習における真理なのです。
お子様の将来を真剣に考えるならば、目先の英検合格に惑わされることなく、本質的な学力向上に目を向けていただきたいと思います。