英語が得意な人に勉強法を聞くと、「文法なんていちいち考えてない」「文構造を分析しながら読んでいるわけじゃない」という答えが返ってくることがあります。こうした発言を聞いて、「やっぱり文法は要らないんだ」と結論づけてしまう生徒が少なくありません。しかし、その解釈は大きな間違いです。
彼らが「考えていない」と言うのは、文法や構造の知識を持っていないという意味ではありません。かつて意識的に学んだ文法の知識が、膨大な練習と経験を経て、もはや意識しなくても自動的に機能する状態になっている、という意味です。
つまり「考えなくてもできる」のであって、「知らなくてもできる」のではないのです。この二つはまったく異なることなのですが、表面的な言葉だけを聞くと同じに聞こえてしまいます。
これは英語に限った話ではありません。たとえば、車の運転に慣れた人は、いちいち「ミラーを確認して、ウィンカーを出して、ハンドルを切って」と頭の中で唱えながら操作しているわけではありません。
しかし、それは手順を知らないからではなく、反復の中で一連の動作が身体に染みついた結果です。運転を始めたばかりの頃は、一つひとつの操作を強く意識していたはずです。英語における文法の役割も、まったく同じ構造にあります。
英語の習得過程には、大きく分けて二つの段階があると考えてください。
まず、文法規則や文構造を意識的に学び、それを手がかりにして英文を読んだり書いたりする段階。
次に、その知識が十分に内面化され、意識しなくても正しい判断が自動的にできるようになる段階です。
英語が得意な人が「考えていない」と言うのは、この二つ目の段階に到達しているからにすぎません。
問題なのは、二つ目の段階だけを見て、最初の段階を飛ばせると思い込んでしまうことです。意識的に文法を学ぶプロセスを省略して、大量に英語に触れていれば自然と身につくだろうと考える。
しかし、基礎的な文法の枠組みがないまま英文を読み続けても、なんとなく単語を拾って意味を推測するだけの読み方が習慣化してしまいます。これでは、文が少し複雑になった途端に意味が取れなくなり、そこから先の成長が止まります。
英語が得意な人の「文法なんて考えてない」という言葉の裏側には、文法を徹底的に学び、繰り返し使い、意識しなくても出てくるレベルまで定着させた過程が必ず存在しています。その地道な過程があったからこそ、今は考えずにできるのです。結果だけを見て過程を否定してしまうのは、完成した建物だけを見て「基礎工事なんて要らなかったのでは」と言うようなものです。
お子さんが「英語が得意な先輩は文法なんかやらなくていいと言ってた」と話すことがあるかもしれません。その言葉を額面どおりに受け取るのではなく、見えている結果の裏にどれだけの積み重ねがあるのかを、ぜひ一緒に考えてあげてください。
意識せずにできる状態は、意識して繰り返した時間の上にしか成り立たないのです。
宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
英語診断ドック
今の勉強法で伸びない理由を、短時間で整理します
現在、英語診断ドックへのお申し込みを多くいただいております。入塾のご案内は、空席状況を踏まえて順次行っております。状況により、診断のみの実施または空席待ちのご案内となる場合がございます。

