近年、大学の序列や偏差値を面白がるコンテンツを、インターネット上でよく見かけるようになりました。どこの大学に行ったかで人を値踏みし、その優劣を娯楽として消費する。そうした空気が、以前よりも可視化されているように感じます。
こうしたものに触れて、「自分も馬鹿にされたくないから勉強しよう」と奮起する生徒がいます。実際、それをきっかけに勉強を始めたという話も耳にします。動機がどうであれ勉強を始めたのだからよいではないか、という見方もあるでしょう。
私も、入り口が不純であること自体を否定するつもりはありません。親に言われたから、友達が通っているから、周囲に負けたくないから。勉強を始めるきっかけなど、たいていはそんなものです。それでいいと思っています。
問題は、その動機のまま最後まで走り切ろうとすることです。
「馬鹿にされたくない」という感情は、恐れを土台にした動機です。恐れは、短期的には強い推進力になります。しかし、長続きしません。
受験勉強は1年、2年と続く長い営みですが、恐れだけで支えられる期間には限界があります。途中で息切れするか、あるいは勉強そのものが苦役になっていきます。
さらに心配なのは、その先です。恐れを動機に勉強してきた生徒が志望校に合格したとき、何が起こるか。
恐れの原因が消えるのですから、勉強する理由も同時に消えてしまいます。せっかく進学した大学で、学ぶことに背を向けてしまう。これは、決して珍しい話ではありません。
大学に入ってからが本番であるはずなのに、入った時点で終わってしまう。これほどもったいないことはないと思います。
だからこそ、指導する側の仕事は、入り口の動機を、別のものへと移し替えていくことだと考えています。
分からなかったことが分かるようになる。読めなかった英文が読めるようになる。この経験を積み重ねていくと、生徒の中で何かが変わる瞬間があります。「できるようになるのが面白い」という感覚が芽生えてくるのです。
ここまで来た生徒は強い。恐れではなく、面白さが推進力になるからです。そして、この動機は合格後も消えません。
もう一つ、お伝えしたいことがあります。学歴という言葉が、どこの大学に合格したかという一点だけを指して使われがちだということです。しかし本来大切なのは、その大学で何を学び、どんな知識に触れ、どういう人間として社会に出ていくかという中身のはずです。
英語という教科を教えていると、このことを強く感じます。英語は入試の道具である以前に、世界の情報にアクセスするための手段です。読める英文の幅が広がれば、触れられる世界も広がります。その実感を持てた生徒は、入試が終わっても英語から離れません。
これはAIが発達し、自動翻訳がさらに深化しても同じです。英語の原文を原文のまま理解すること。この面白さは自動翻訳では味わえないものです。
お子さんが勉強に向かう理由が、今どこにあるか。もしそれが恐れや焦りだけだとしたら、そこから一歩進める手助けをしてあげたいところです。学ぶことは、本来面白いものなのですから。
宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
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