勉強の「細分化」が子どもの成長を変える

漠然とした学習の落とし穴と突破法

· 塾長の指導観・雑感,英語勉強法

宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ

 「とりあえず勉強しなさい」――親なら一度は口にしたことがあるフレーズでしょう。

しかし、この言葉が持つ“漠然さ”こそ、子どもたちの学びを曖昧にし、やる気や成果を鈍らせてしまう大きな要因です。

実は、勉強こそ“細分化”が不可欠です。

「細分化」とは、単にタスクを小分けにすることではありません。目標や目的に照らし合わせて、「今すぐ身につくこと」と「習得に時間のかかること」、「得意なこと」と「苦手なこと」、「すぐにやるべきこと」と「急がなくても良いこと」など、勉強を多面的に分類し直すことを意味します。

たとえば英語学習の場合、「単語を覚える」ことと「英文を読む」ことは同じ勉強のようでいて、求められる力も得られる成果も全く違います。

英検対策を例にすれば、「リスニングで点を取る」ことと「ライティングで点を取る」ことの準備は、方法も時間軸も異なります。

なのに、保護者も子どもも「英検のためにとにかく勉強しよう」と漠然と進めてしまいがちです。

その結果、「一生懸命やったのに受からなかった」という残念な結末になりやすいのです。

こうした失敗を防ぐには、まず「勉強内容を言語化する」ことから始めます。

たとえば、「リーディング力を伸ばしたい」と言うのなら、「毎日5分間英語長文を音読する」「知らない単語は必ず印をつけて調べて覚える」「読んだ英文の要約を書いてみる」など、行動レベルまで細かく分ける。

すると、漠然と「リーディング」と呼んでいた作業が、「語彙」「速読」「要約力」といった異なる側面に分かれ、それぞれについて進捗や課題が見えるようになります。

さらに、細分化することで「今すぐ成果が出ること」と「半年かけて成果が出ること」の見極めができるようになります。

たとえば、「単語暗記」はやればその場で覚えた感覚がある一方、「英作文力」はすぐに成果が見えにくい。

しかし、後者も正しい手順で取り組めば半年後には飛躍的に伸びます。こうした「時間軸の違い」も、細分化することで子ども自身が実感しやすくなります。

重要なのは、細分化することで「得意なこと」「苦手なこと」も明確になる点です。

苦手を無理に克服しようとして消耗するより、得意を伸ばしつつ苦手は最小限のエネルギーで補う方が効率的な場合もあります。

英語が得意でもリスニングだけ苦手な子には、「まずは日本語で要約力を磨いてから英語リスニングに移行する」といった独自の戦略も立てられるでしょう。

このような勉強の細分化は、単なる学習計画のテクニックではありません。

「目標を実現するために、今の自分に本当に必要なこと」を見抜く思考力――つまり「生きる力」そのものを育てる作業でもあります。

だからこそ、勉強に対して「なんとなくやる」「とりあえず手を付ける」という態度ではなく、具体的な問いや分解を通して主体的に取り組む姿勢が、最終的に子どもの可能性を最大化するのです。