宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
英単語を2000語覚える。
毎日英語を音読する。
こうした勉強を提案すると、拒否反応を示す生徒がいます。
やりたくないわけではない。むしろ「やったほうがいい」とは頭でわかっている。それでも手がつけられない。なぜでしょうか。
興味深いことに、こうした生徒の多くは定期試験前には猛烈に勉強します。試験二週間前から範囲を詰め込み、徹夜もいとわない。その集中力と根性は本物です。
しかし、試験が終わった途端に勉強が止まる。そして次の試験二週間前まで、また何もしない。この繰り返しです。
ここに「伸びる生徒」と「伸び悩む生徒」を分ける重要な差があります。
定期試験の勉強には「見返り」があります。
二週間頑張れば点数が出る。評定がつく。親に褒められる。先生に認められる。
この即時的な報酬があるからこそ、短期間の猛勉強ができるのです。
しかし英単語2000語や毎日の音読には、そうした即時的な見返りがありません。一週間続けても模試の偏差値は変わらない。一ヶ月続けても目に見える成果は出ない。だから続かないのです。
人間の脳は、努力に対してすぐに報酬が得られないと、その行動を維持しにくいようにできています。
定期試験型の勉強ばかりしてきた生徒は、「二週間で成果が出る」という報酬サイクルに脳が慣れてしまっている。だから「一年かけて力をつける」という長いサイクルに耐えられないのです。
もう一つの問題は、大きな目標を日々の行動に落とし込めないことです。「英単語2000語を覚える」と言われても、それを「一日何語」「どの時間帯に」「どの方法で」と具体化できない。
漠然と「やらなきゃ」と思いながら、結局何も始められない。定期試験なら「この範囲をこの日までに」と明確ですが、長期目標にはその明確さがないのです。
ではどうすればいいのか。必要なのは「体質改善」です。
まず、目標の立て方を変えます。「偏差値を5上げる」「英検に受かる」といった大きな目標は持っていていい。しかし日々意識するのは「今日、単語を20個見た」「今日、音読を10分した」という小さな行動だけにする。
大きな目標を見続けると「まだ遠い」と落ち込みます。小さな行動だけを見れば「今日もできた」と思える。この差は決定的です。
次に、小さな達成感を意識的に味わう訓練をします。定期試験型の勉強に慣れた生徒は、「点数」や「評定」という外部からの評価でしか達成感を得られなくなっています。
しかし本来、「昨日わからなかった文が今日は読めた」「先週より音読がスムーズになった」という内的な手応えも立派な達成感です。
この感覚を取り戻すことが、長期的な学習を支える土台になります。
英語の力は、短期間では絶対に伸びません。
単語も文法も読解も、すべて時間がかかる。定期試験のように「二週間で成果を出す」という発想自体が、英語学習には向いていないのです。
だからこそ、小さな前進を繰り返し、その前進を自分で認められる生徒だけが伸びていきます。
お子さんが「長期的な勉強ができない」タイプなら、それは意志の弱さではなく、これまでの勉強スタイルが作った「体質」の問題かもしれません。
体質は変えられます。ただし、それには意識的な訓練と、ある程度の時間が必要です。

