塾に通う生徒それぞれが、大学受験に向けた志望校を持っています。
中には、現在の成績からは少し距離のある、高い目標を掲げる生徒もいます。私はそういった挑戦を、頭ごなしに否定することはありません。
今の位置から届いていなくても、これから積み上げる努力によって大きく伸びていく生徒はいるからです。むしろ、そうした挑戦を応援したいと思っています。
しかし、志望校を尊重することと、現実を曖昧にすることは、別のことです。
高い目標を掲げるということは、その目標に見合った学習量と時間配分を引き受けるということでもあります。
難関大学の入試を突破するためには、基礎語彙の完成を急ぐ、文法を早い段階で仕上げる、長文演習を計画的に積む、過去問に取り組む時期を逆算するといった一連の作業を、入試日から遡って組み立てていく必要があります。
夏前までに基礎の一冊目を終えられなければ、長文演習に入るタイミングも遅れ、過去問の開始もずれていきます。遅れが連鎖して積み重なれば、当初の目標には物理的に届かなくなります。
このことをお伝えすると、時に「もっと自分のペースでやりたい」という声が返ってくることがあります。もちろん、生徒によって適切な負荷は異なりますし、過剰な負担になってしまうほど追い込むべきではありません。しかし、課題量だけを減らして、志望校だけを高いまま維持し続けるという選択は、残念ながら現実的ではないのです。
「このままでは間に合わない」という現状の共有は、志望校を下げることを求めているわけではありません。
今のやり方を続けた場合の見通しを、事実として伝えているだけです。そこから選べる道は二つあります。目標を維持するために学習量を上げるか、学習量を維持するために目標を再検討するか。
どちらを選ぶかは、本人とご家庭が決めることです。塾の側で決めることではありません。
「できない理由」と「できる方法」は違います。定期テストがある、学校の課題が多い、部活で疲れている——これらはすべて事実でしょう。
しかし、受験勉強はそれらの事情を確認したところで終わるものではなく、その条件の中でいつ、どこで、何を進めるかを組み立てる作業に入って初めて前に進んでいきます。事情の説明が、課題を進めない理由の確認だけで終わってしまうと、残された時間は静かに削られていきます。
塾の役割は、生徒を苦しませることではありません。同時に、努力しなくても届くように見せることでもありません。必要な学習を整理し、無駄を削り、実行可能な形に落とし込むこと。それが本来の役割です。ただし、それでも高い目標の場合には、一定の大変さは残ります。その大変さまで取り除いてしまえば、目標そのものが成立しなくなるからです。
「大丈夫」という言葉で気持ちが軽くなっても、入試日が延びるわけではありません。塾としてお子さんの将来に本当に責任を持つとは、聞こえの良いことだけを言わないことでもある——そう考えながら、日々生徒と向き合っています。
宇都宮市英語専門進学塾EX 塾長のブログ
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